傾いた世界と傾いた人間.


昼寝て,夕方起きると
右足が左足になっていた.
左足は,左足のまま.
両足とも土踏まずが左側に来てしまったので
左側には二倍踏ん張れるけど,右側には踏ん張れない.


不安定な足下を見つめながらよろよろと歩き
外に出てみると,世界が傾いていた.
これから,出掛けなければならない.
行く先の方向を見ると,左側の地平は下がり,右側は上がっている.
なるほど.
だから僕の足は.


このまままっすぐ,歩いていくことは出来る.
左側が下がっていても,踏ん張れるからだ.
しかし,帰りはどうだろう.
帰ってくるには,大変な道のりになるだろう.
這って戻って来なければならないかもしれない.
向かいの家の人は,いつも僕とは逆方向へ出掛けていく.
彼の左足がどうなっているか,とても気になった.