クラッシュギフトボックス

今日,家にハムが届いた.アマチュア無線の方じゃなくて,加工豚肉の方の.
実家の母が毎年,この時期に大量に買うのである(アマチュア無線を,では無く,加工豚肉を).仕事との関係で,割と安く買えるイベントがあるらしい.
年末に売り出される商品なだけあって,安物ではない.かと言って,高級品と言えるほどでもない.
具体的にどの程度の品質かと言うと,木目調のプリントがなされた紙製の化粧箱に包まれているくらいの品質,である.
上記の説明で,大体の品質や価格が想像できる人は,普通.
全く具体的な説明でない,まるで品質に触れていない,と思われた方は,正常.


ハムが届いて真っ先に行ったことは化粧箱の処理だった訳だけれど,解体の容易な箱であった.
特定の位置を摘んで引っ張るだけで箱の形状が崩れ,一枚の紙になるという仕組み.
箱の内面に「クラッシュギフトボックス」と書かれていた.大胆なネーミングセンスだと思う.爆弾が仕込まれた差出人不明の小包に付けられそうな名前だ.
ティッシュの箱にしても段ボール箱にしても,最近の包装は大抵,こんな感じに潰しやすくなっている.ゴミの容量減が,期待されるプラスの効果らしい.
ゴミの輸送に掛かるコストは,僅かに削減されるかも知れない.
しかし,ゴミの質量は減らない.燃焼時に発生する二酸化炭素の量も変わらない.
だが,それ自体も,大した問題では無いのだろう.
全国の主婦,及び主婦以外の人々は年末大掃除の際,この箱を潰す容易さと潰された箱のコンパクトさを目の当たりにし,「ああ,処理が楽だな」とか,「この企業はゴミの処理過程についてもちゃんと考えているのだな」とか思ったり,思わなかったりするのだろう.
しかし,今この日記を書いている私以上に,この箱について深く考え,その存在意義を意識している人間は,きっと少ない(開発者くらいであろう).そして私も,明日になればきっと忘れてしまう.


環境問題って,より若い世代に対して深刻な問題だけれども,年代以外の要因に於いては,これほど万人に対して満遍なく密接で,満遍なく深刻で,且つ満遍なくどうでも良い問題というのは,なかなか他に例を見ないものだなぁ,ということを,暖房の効いた自分の部屋で今考えついたのだけど.
実に無意義な,くだらない思考だ.環境に悪い思考,と言える.